PCのフォルダに入っているMIDIデータのオルガン曲を聴いた。2023年1月にキーボード演奏を始める前に、頻繁に聴いていたもの。
曲目
「パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582」
「前奏曲とフーガ ヘ短調 BWV534」
「前奏曲とフーガ ロ短調 BWV544」
「前奏曲とフーガ ハ短調 BWV546」
「前奏曲とフーガ ホ短調 BWV548」
「前奏曲とフーガ ホ長調 BWV552」
たった2年前に比べて、耳が格段に良くなっていて、各声部が聴き取れる……ものすごく立体的に聴こえる。音の構造物が、奥行きを醸しているのが感じ取れる!
けっこう聴き取れてみると、いろいろ衝撃。特に「前奏曲とフーガ ホ短調 BWV548」のフーガ。ありえない。
もう言葉で表すのは無理なんだけど、あえて挑戦してみる。感動っていうより、衝撃と恐れ(畏怖の念)。もう胸が圧迫されて、心臓がつり上がっているような驚愕反応なんだが。
目の前で起こっていることが、信じられない、目を見張る、驚きのあまり声が出ない、息が詰まる、心が揺さぶられるっていう反応。
構造物の奥行きもすごいんだけど、あのノイマイスターコレクションの1曲、音が目まぐるしく変わってミラクルなやつ(コラール前奏曲 BWV1110)、あれと同じ具合にミラクルなんだけど、比べものにならないくらい目まぐるしく音が変わる。まず人間が演奏できるようなものではない。
前はごちゃらーっとして聴き取れなかったのが、今ははっきりと聴こえた。
私が聴いたのは、デジタルデータで、重ね録りで、多分テンポも遅めに録音したものを編集でスピード上げてるから、あのミラクルなの実現してるけど、生身の人間(オルガニスト)が、あれは無理。人間で可能だったのはバッハ先生のみ。
可能だったんだと思う。実際そういう楽譜になっているもの。あれを実際に人間が弾いていた!!!
曲がとてつもなく私の心を揺り動かし、責めさいなむ。身動き取れない感じ。神の使いが来てお告げを受ける人みたいに、硬直してしまう。奇跡を前に驚愕している。
「感動!」とか、そういうマイルドなもんではない。1回でも奇跡を見たら、もう人生観、世界観が変わってしまうだろう。それを10回も100回も見せられたら、人間の精神が耐えられるものなのか?
「神の栄光」を表している。全知全能の神のまばゆい光でパーっと照らされて、ただただ畏怖の念でひれ伏すしかない。そういう音楽を作り出そうとしたのだろうと。そして、それが実現していると…。
これ作曲したのって30歳くらいでしょ? 天才には年齢は関係ないんだわ。神が乗り移って、書かせちゃってるから…
プロのオルガリスト、技術が追いついていない。バッハ先生ただ一人が演奏できる曲。
あとはデジタル技術。
自分だけが演奏できるように書いた(神によって書かされた)。
もともと「感動」というのは気持ちの良いものなのか、「快」なのか、喜びなのか、幸福なのか。
私の感じているのは、全然そんなものではない。人間が見てはいけない領域を見てしまったという恐れや畏怖の念。神の領域に足を踏み込んでしまったという恐れ、怯え。曲の荘厳さに圧倒される。
その後マニュアル曲かけたけど、全然スケール違った。足鍵盤ないし、音域狭いし。でも、やっぱり心に響く。感じ方は前と同じ。同じ感動があり。
マニュアル曲でさえ四苦八苦しているのに「前奏曲とフーガ」がいずれ弾けるようになるなんてことがあるわけない。でも、それでいいと思う。もし、あんなすごい曲を自分で弾いたとしたら、もうその場で死んでしまうかもしれないから。とても人間の精神が耐えられるものではないと思うから。
何で、あんなすごい曲を書いた人が、私の足元まで降りてきてくれて、私にも弾けるような曲も書いてくれたんだろ……ホントに宝物。私にとっては。
どんな曲でも、自由自在に作曲できるんだわ……才能が恐ろしい。
マニュアル曲、どれ一つとして力を抜いて書いたとか、おざなりとか、手抜きとかいうものがない。どれも、全て最高の創造性で書かれている。妥協というものはない。どんな小品にでも、全力で魂を吹き込んでいる。それが私の心を動かす。
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