湘南にある店で、輸入もののクラヴィーアをあれこれ販売している。クラヴィコードやチェンバロなど。値段は、80万~250万!って感じ。
そのサイトに、クラヴィコードの組み立てキット(25万円)を組み立てた人の制作過程の写真が載っており、それに加え試奏のYouTube動画があったので聴いてみた。
組み立て自体は、専門の技術・工具がないと無理な感じで本格的。素人には立ち入れない世界って感じ。
演奏は「インベンション第13番 BWV784」。残響がどの程度継続するのか? 調律は?などと興味津々。
クラヴィコード、響きはギターとかリュートのような弦楽器そのものである。残響はほとんどなし。指で弦をはじいたのと同じ程度。
あと調律だけど! ヴェルクマイスターだの言う以前に、調律狂ってるっていう感じ。たぶん楽器の性質上、これ以上は精密に合わせられないのでは?と思った。これって一度念入りに調律しても、すぐに狂い始めるという気が。わずかな歪みやズレで、調律が常に変化している感じ。バロックの頃の演奏家は、弾くたびに調律してたみたいだし…。
1789年に書かれた「テュルク グラヴィーア教本」*って本を読んだら、グラヴィーアの扱い方(手入れの仕方・調律法など)が載っていた。弦の張り方、設置場所、温度・湿度の変化などで、どんどん調律が狂っていく様子が分かり、ものすごく繊細な楽器なのだと思った。今回、実際にクラヴィコードの演奏を聴いて、それを再確認した形となった。
素朴な演奏である。終わりまで聴くと、最初に戻って何度でも聴いてしまう…こういう素朴な演奏が音楽の原点だと思ったよ…! プロの演奏家たちの演奏よりも、胸に響く感じがした。変な作為がないというかね…。クラヴィコードの響きもゴテゴテとした飾りがなく、音楽そのものをのせている感じがして、心に響いた。
クラヴィコードは音を引っ張れないし、調律も合わせるのが難しそうだし、私はカシオのキーボードをオルガン音で弾いているのが一番幸せなんだと再確認した。
バッハ先生はクラヴィコードがお気に入りで作曲してたみたいだけど、この楽器って、すぐに音が減衰して消えてしまう。だから、バッハ先生のクラヴィーア曲は、もともと音が持続しない楽器のために作曲された曲、ってことになるんだろうけど、キーボードのオルガン音で弾くと、何であんなに和音が美しいんだーーーー!? あれをクラヴィーアやピアノで弾くのはもったいないとしか言いようがない!
結局、自分の好きな楽器で、自分の好きなように自由に弾くのがいいんじゃないの?
調律に関しては現代テクノロジーの勝利という気が!! ボタン1つで完璧な調律に! すごすぎる!!!
*『テュルククラヴィーア教本』(ダニエル・ゴットロープ・テュルク/著 春秋社/刊)(34~41ページ)
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