フランス組曲第6番(BWV817)は、ポロネーズとブーレを同時進行している。最初両手でさらっと弾いてみた。調律はジルバーマン第1法にした。音がきらめいていてキレイ。
ところで、ブーレの途中、一箇所だけとてつもなく和音が汚いところがあるんだけど! 弾いていて、そこだけ手が止まった。何か間違っているんじゃないかって…。
楽譜と鍵盤とよく見比べて確認したけど、間違っていない。でも、とんでもなく濁る。
21小節目、ソプラノの「ファ#」とバスの「ミ#」が半音しか離れていないから、猛烈な唸りを発生させている。全曲が澄み切って朗らかな調べなので、ここの汚さが際立つ!
Bach Digitalで、大元の楽譜を確認。バッハ先生の自筆譜は残っていなくて、いくつかの写譜が現存する。私が見つけたのは5つの筆写譜で、どれを見てもバスの「ミ」にシャープがついていて、ソプラノが「ファ#」で半音違いでぶつかってるね…。
IMSLPに上がっている全ての出版譜を確認してみたけど、どれもこれも同じ表記だった。YouTubeやMIDIでいろんな人の演奏を聴いてみたけど、みんな楽譜の通りに弾いている…濁った響き…。うー、うー…。
ピアノやチェンバロでもかなり濁った響きになるのが、私の場合パイプオルガンの音で弾いてるからなあー。耐えがたいものがある。
ネットで一通り調べてみたが、ここを問題視している言説は、ついぞ見つけられなかった。あらゆる人が、この音の並びを容認している模様。
しかし! この濁った音、私にはどうしても弾くことができない!! 絶対ムリ!
というわけで、独断で、これは「写譜の間違い」と決めつけ、元の楽譜を自力で復元することに。
筆写譜が5つとも同じ音符の並びなんだから、多数決でいうとかなり不利である。しかし、写本の世界には写し間違いは、つきもの。
例えば、次のような場合が想定されないだろうか?
自筆譜(消失)→ 写譜A(消失)→ 写譜B~F(現存)
写譜Aの筆耕人が写し間違えれば、写譜B~Fがすべて間違えることになる。
バッハ先生がこのような濁った和音を容認するわけはないから、どう考えても、これは写し間違い。私としては、ここはどうしても書き直さないわけにはいかない。
クラシック音楽の世界って、楽譜至上主義なところがあるよね。絶対に楽譜は改変してはいけないという…。これはコンクールが頂点にある権力構造で業界が形作られているから、そこでの共通のルールってことになってるんだろうけど、私はその世界には属していない。私はたった一人の観客(自分)のために演奏すればいいんだから、この人の要望を最優先にするよ!
まず一番容易な方法として、「ミ」のシャープを取ってしまう。「ミ#レ#ミ#レ#」を「ミレ#ミレ#」に変更。そうすると、少なくとも半音違いの音のぶつかりを避けることができる。
しかし曲中にある同じような旋律のパターン部分を見ると、シャープを取っただけでは流れが悪いように感じられる。他の部分を真似してみるとここの「ミ#レ#ミ#レ#」は「ミファ#レ#ミ」の方がいいんじゃないかって…? しかしこれだと、次の小節への繋がりが悪い感じがするよね。うーん…悩むところである。
どっちの案を採用するのかは練習の流れで決めていきたい。
カテゴリー:調べたこと・考えたこと


